月別アーカイブ: 2008年10月

二次曲面から、三次曲面へ

アルヴァ・アアルトが、開発を続け
アアルト・レッグという
新たな成型合板の進化をとげている1950年代、

アメリカでは、チャールズ・イームズが
成型合板で、2方向以上の曲線を作り出そうとしていました。

ニクロム線の通った、石膏型に
接着剤を塗った合板を圧着させ、乾燥させる方法です。

この方法で生まれたのがこのチェア。
『DCW』です。
二次曲面をもつ脚と、三次曲面をもつ背・座からなっています。

一方、デンマークでは、
背から座まで一体成型された三次曲面のチェアが発表され、
世間を驚かせました。

建築家アルネ・ヤコブセンがデザインした
『アント(アリの事)チェア』です(1952年)。

日本では、『アリンコチェア』という愛称で
今でも、多くの人たちに愛されているチェアです。

軽くて、スタッキング(重ねること)が出来る椅子として
デザインされた物で、当時は3本脚でした。

連続した背と座の部分は、
9枚のベニヤを交差させながら、型に入れます。

そしてプレスして作るのですが、三次曲面にすると
腰の部分が割れてしまう為、削り取り、くびれた形になっています。

ヤコブセンの没後、安定感のある
4本脚の『アントチェア』も生まれました。

1955年には、量産性を高めた『セブンチェア』も誕生。

プレスの仕方や、木の乾燥の加減、単板層の重ね方などをさらに研究し、
これらの椅子を、現在までベストセラーとして育て上げた
「フリッツ・ハンセン社」は、
1915年に、いち早く曲木椅子の製造を始め、
研究を重ねていたのです。

合板の進歩

「合板を、金属パイプのように加工できないだろうか?」

1900年代、建築家やデザイナーは、
鉄骨や、ガラス、金属パイプなどの新素材に感心を寄せていましたが

建築家アルヴァ・アアルトは、「木材を金属のように加工できないか」と考え、
1931年に、とうとう『パイミオ』という椅子を完成させました。

これは、10月16日に紹介した『カンチレバー』チェアの構造を
木材で再現する事を目指した、取り組みの中から生まれました。

薄い合板(ベニヤ)を作る事は、当時は大変難しかったのですが、
のちに機械、接着剤、圧着の技術が向上し、
二次曲面を得る事に成功しました。
そして、人間の体重に耐えられるようになりました。

曲面をもつ合板を、成型合板といいます。
現在では、よく見られるこの曲面を持つ板は、
この時代に生まれたのです。

そして、その後、成型合板は、さらなる発展をとげていきます。

木製家具の、なかみ。

テーブルなどの、木製の家具に使われている
”木材のなかみ”(種類)について、ご紹介します。

木材について「よくわからない」という方のために、
今日は、色々な素材を使って説明してみますね。

1.無垢板(むくいた)
 無垢板とは、こういう感じです。

 材料となる木を、切ったもの。
 1枚板とも言います。

 お肉と一緒で、種類・大きさ・質が良いほど高価です。

2.集成材
 小さい断面の木材を、長さ方向や、厚さ方向に継ぎ足して
 多きい断面の木材にしたもの。

3.突板(つきいた)
 木材を、薄く切ったものです。
 切る方向により、板目、柾目、杢目があります。

 左が板目、右が柾目です。
 杢目は、4で説明する、かつらむきの状態から取ります。

4.合板
 ベニヤとも言われます。
 木材を大根の「かつらむき」のように、薄くむきます。
 繊維の方向を90度変えながら、奇数枚(5枚や7枚)重ね、接着します。

 この合板に、
  3の突板を貼ったものを 「天然木化粧合板」
  ポリ塗装をしたものを「ポリ化粧合板」
  木目をプリントした紙をはったものを「プリント化粧合板」と言います。      

5.木質ボード
 木の小片を接着剤と混合して、圧縮して作るボードのこと。

 ”あらびき”なら、パーティクルボードと言われます。

 もっと細かくした木の繊維を接着剤と混ぜて固めると、
 ファイバーボードと言われます。

 ファイバーボードには、密度が低い順から、
  ・インシュレーションボード
  ・MDF
  ・ハードボード——–の3種類に分かれます。

6.フラッシュ構造合板
 天然木や、木質ボードの枠に、合板やMDFなどの板を貼った
 中空構造の板のこと。
 表面には、プリント化粧シートや、突板を貼ります。

 障子は、片面からしか、紙を貼りませんが、
 木質の枠に、両面から貼るのがフラッシュ。

 丈夫にするたため、枠の中に、
 ダンボールなどの格子状の芯を入れることもあります。

 フラッシュ構造合板を作っているところ

種類によって、異なる利点があります。
その使われる部位に適した材料で、いろいろな家具が作られています。

これからは、材料の事を考えながら、家具を見てみてください。
今までと、ちょっと違った見方が出来るかもしれませんよ。

伸長式テーブルの色々 その2

昨日に引き続き、伸長式テーブルについて
ご紹介したいと思います。

スライド式テーブル。伸ばす前。

天板の下の左右に1枚づつ、補助板が隠れています。
片方の板を、引きだして並べると、この大きさ。

逆側も、引き出して並べます。

スライド式に、横に引き出して、
天板下の部品にうまくジョイントできるようになっています。

次は、補助板を追加する、伸長式テーブルです。

このテーブル(innovator topsテーブル)は、
同素材の木板と、熱い鍋を直接置けるシルバートップの、
二種類の補助天板が付いています。
これは、二枚ともつけた状態。

2枚とも使うと、220㎝になり、1枚だけ使うと180㎝、
2枚とも使わないときは140㎝のサイズです。

上記と同じタイプ(構造)ですが、
こちらは補助天板のサイズが2サイズあるため、
4段階にサイズが変わる優れもの。(イバタインテリア ピットテーブル)

普段サイズは、120㎝。

このテーブルも、脚をスライドさせて、伸ばします。
天板の下に、補助板が2枚収納されています。

小さいほうだけ使うと、135㎝、大きいほうだけ使うと(下写真)150㎝
2枚とも使うと165㎝になります。

[伸長式テーブル特徴まとめ]
脚をスライドさせるタイプ
 ・補助天板を収納している時:
    伸長式とはわからないようなデザインの物が多い
    天板に切れ目なく、すっきり見える
 ・補助天板を使うとき 
    脚を滑らせながら拡げるので、床に対して注意が必要
    多少のぐらつき感は否めない

脚は動かさず天板の方を動かすタイプ
 ・補助天板を収納している時
    ぐらつきが無く、安定感がある
    天板に切れ目が入っているのでデザイン的に、
      伸長式テーブルだとすぐわかる
 ・補助天板を使うとき
    普段壁につけて置いてあるなら、ずらさなくてはならない
    左右にスペースが必要である

バタフライタイプ
 ・補助天板を使わないとき
    横に垂れ下がっているので、その方向には座れない

どれがいいの?と聞かれますが、
これは、その人その人の使う頻度や、置く場所、大きさによりますから、
その都度、スタッフに相談してくださいね。

伸長式テーブルの色々 その1

いつもは、小さくていい。
でも、お客さんが来たときだけ、
大きくしたい。

そんな、テーブルに対しての要望があります。

その願いをかなえてくれるのが、
[伸長式テーブル]です。

伸長式には、色々なタイプがあります。
タイプ毎に、ご紹介しましょう。

まずは、エクステンションユニット(継ぎ足す板)が
テーブルの真ん中から出てくるタイプ。

日進木工のナチュラルブラウンシリーズから。

普段は、こんな感じ。

天板を伸ばしたいときは、
天板の両端を、左右に引っ張ります。
すると、下から補充天板が出てきます。

真ん中の補充天板を、水平にのばしたら、
両側に開いた天板を中央に押し付け、連結させます。

テーブルの脚の位置はそのまま、天板だけ広げますので
とても簡単に、操作出来るタイプです。

次は、バタフライ型。

折れて下がっている補充天板を水平に持ち上げ、
テーブルの脚を横にずらします。
(スライド式に脚の間隔を広げる事が出来ます。)

このタイプは、片側にだけ折れた天板があるので片バタ(フライ)式といいます。

両側に折れ板があり両方伸ばせる場合、両バタ(フライ)式といいます。

他にも、伸長式の方法があります。
続きは、明日ご紹介いたしますので、お楽しみに・・・。

ダイニングセットは、
札幌ファニシング家具ショールームTERRA4階です。