日別アーカイブ: 2008/10/22

二次曲面から、三次曲面へ

アルヴァ・アアルトが、開発を続け
アアルト・レッグという
新たな成型合板の進化をとげている1950年代、

アメリカでは、チャールズ・イームズが
成型合板で、2方向以上の曲線を作り出そうとしていました。

ニクロム線の通った、石膏型に
接着剤を塗った合板を圧着させ、乾燥させる方法です。

この方法で生まれたのがこのチェア。
『DCW』です。
二次曲面をもつ脚と、三次曲面をもつ背・座からなっています。

一方、デンマークでは、
背から座まで一体成型された三次曲面のチェアが発表され、
世間を驚かせました。

建築家アルネ・ヤコブセンがデザインした
『アント(アリの事)チェア』です(1952年)。

日本では、『アリンコチェア』という愛称で
今でも、多くの人たちに愛されているチェアです。

軽くて、スタッキング(重ねること)が出来る椅子として
デザインされた物で、当時は3本脚でした。

連続した背と座の部分は、
9枚のベニヤを交差させながら、型に入れます。

そしてプレスして作るのですが、三次曲面にすると
腰の部分が割れてしまう為、削り取り、くびれた形になっています。

ヤコブセンの没後、安定感のある
4本脚の『アントチェア』も生まれました。

1955年には、量産性を高めた『セブンチェア』も誕生。

プレスの仕方や、木の乾燥の加減、単板層の重ね方などをさらに研究し、
これらの椅子を、現在までベストセラーとして育て上げた
「フリッツ・ハンセン社」は、
1915年に、いち早く曲木椅子の製造を始め、
研究を重ねていたのです。