美術館や、博物館に、
永久コレクションとして認定されている
「スタンス」という名前のモノがあります。
絵画?オブジェ?骨董品?
いえ、いえ。
それは、チェア。椅子なんです!
ニューヨーク近代美術館、スウェーデン王立博物館の
永久コレクションとして認定されているinnovatorの「スタンス」。
発表された当時、注目を集めたその理由は、
デザインはもちろん、デザインを生み出す源となったコンセプトに
多くの人が共感したからだそうです。
まだ、環境問題だとか、エコロジーだとか、資源について
現在のように、意識が高まっていなかった時代、
省資源や、リサイクルについていち早くアプローチしたのが、
「innovator(イノベーター)」というブランドで、
商品として出来上がったのが、この「スタンス」という椅子なのです。
innovator(イノベーター)は、
・デザインや素材に無理や無駄を省く。
・永く使い続けることで省資源化を実現する。
という、とても理にかなった発想で商品を作り続け、
今なお、すべてのイノベーターの製品に受け継がれています。
・最小限の部品交換で、いつまでも使える。
・カバーリングスタイルなので、カバーをはずして洗える。
・クッション部分や、カバーだけ、買い足す事ができる。
といった、永く使える工夫が、30年以上前から根付いているんです。
※過去の記事です。現在、innovatorの取り扱いはありません。
「スタンス」のデザインの起源は、
1919年に設立された、バウハウスという
デザイン教育学校の中から生まれた
カンチレバーチェアにあると思います。
バウハウスでは、[芸術と工業技術の新しい統一]をめざしていました。
シンプルであるからこそ、美しく、永く愛され、
そして、大量生産を可能にしていったのです。
機能を満たす最小限のデザインを美しいと考え、
新しい素材、構造の家具や建築が生まれたのもこの時代です。
マルセル・ブロイヤー「カンチレバー」
ミース・ファン・デル・ローエ「MRチェア」
これらの、デザインは、今でも多くの人に受け入れられ、
まったく古さを感じさせませんよね。
歴史上重要なデザインとして、
「スタンス」チェアが、世界各国の美術館で
パーマネントコレクション(永久保存コレクション)として
認定されている理由が、おわかり頂けたでしょうか?
デザインだけじゃない。
そこに込められた意味が、人を動かすんだと・・・。