日別アーカイブ: 2008/10/24

技術が可能にした、デザインの実現

10月20日から4日間にわたり、

家具に使われる、木材の事、そして、

外国で生まれた、木材の加工技術と、それによって実現した
椅子のお話をしてきました。

今日は、日本のお話です。

世界では、1800年代から、
「木を曲げる」ことについて、研究が始まりました。

そして、現在では日本でも、この技術がさらに高まり、
美しい曲線を持つ椅子が、生産されています。

成型合板の技術に、機械の進歩が加わりました。
手作業では、不可能な、細かい作業が可能になったのです。

コンピューターにプログラムされた指示通りに、
刃が、木を削っていきます。
曲面も自在に削り出せる、優れものです。

この機械が、NCルータ。

NCルータを使い、
薄く、曲げられた成型合板に、溝をつけたり、
カットしたりする、緻密な作業がほどこされます。

薄い成型合板の側面に、削りこまれた溝。
この溝のおかげで、薄い成型合板に、ぴったりとフィットした
布地や、革を張り込むことができます。

家具のプロが、その椅子を見たとき、
「どうやって、作ったのかわからない!」という声があがったという
職人の、妥協のない技術で生まれた、三次曲面を持つチェアがあります。

ADコア 瀬戸昇氏デザインの「LINEA(リネア)」です。

LINEAは、脚の幅を微妙に変化させて、
肘の部分には段差をつけています。

しかも、合板の厚さを、徐々に薄くしていく
不等厚成型を、一番の急カーブのところで採用しています。

これらは、非常に至難の技です。

すぐれた木工技術が、
デザイナーの、思い描くフォルムの実現に
欠かせない物となっているようです。

日本の木工技術の結晶
ADコア「LINEA」は、ショールームTERRAでご覧いただけます。

フォルムと、構造の融合。
   独創的なスタイルのチェアです。

なめらかな、素材感や、美しいディテールをお楽しみください。

参考文献(画像):CONFORT