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世界1の家具産地といえる旭川

さて、織田先生の特別講演前半では、北欧のデザインを中心にお話しいただきました。

北欧家具は、日本の気候、それに伴って日本の家屋にもよくあい、大変人気の高いものですが、それにはデザイン性、機能性が深く関わっていることもわかりました。北欧デザインがなぜ、高い評価を受けるのか、それも、国土や歴史などを通じ紐解いてくださいました。

(後半は、フィン・ユールの自宅、ハンス・J・ウェグナーの自宅、そして織田先生のご自宅のスライドでした。大変貴重なお写真を拝見させていただき感動しました。ここでは、後半のスライドショーに関しては省略させていただきます。)

そこで、我が国日本のデザインは・・・?

日本の5大家具産地の一つに数えられる、旭川。
ここでは、もう一度私なりに、旭川家具の歴史をまとめてみました。
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旭川家具
町の形成、そして家具需要
 明治末期、旭川には陸軍第七師団が置かれ、鉄道が開通しました。
軍都として栄えた旭川には官公庁舎や学校も必要とされ、その需要を満たすために、本州から大工や家具職人たちも数多く移住してきました。

主産業への発達
 大正二年、大凶作により農業が主産業だった旭川は大打撃を受けたのをきっかけに、経済安定のため「木工伝習所」を設立し、木工を主産業として発展させていきます。
また、大雪山系の深い原生林があり、世界有数の良質な森林資源が身近にあったという環境も
家具産業を支えてきた理由の一つと言えるでしょう。

低迷、そして更なる発展へ
 発展した家具産業も、第二次世界大戦後しばらく低迷してしまいました。
そんな状況を打破するため、当時としては画期的な展示販売会「旭川木工祭り」を開催。
昭和三十年には、「市立木工芸指導所」が作られ、家具の作り方やデザインについての研究が行われるようになりました。

現在でも旭川木工祭りは毎年開催され、平成二年には三年に一度開催されている「国際家具デザインフェア」がスタート。世界中から優れたデザインの家具が集まる、若手デザイナーを育む家具の町に成長しました。
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織田先生は、旭川は、世界一の家具産地だとおっしゃいました。
その理由として・・・

 ・大小120社もの家具メーカーがある
 ・道内のミズナラ、トリネコなどの良材が集まる
 ・林産試験場や高専などの研究・教育機関が整っている
 ・世界的コンペが開かれる(IFDA)
 ・織田コレクション

こんな、環境がある家具産地は世界中のどこにもない!

※IFDAとは、先ほど書いた国際家具デザインフェアの事です。
今年6月18日から22日まで開催されます。

織田先生の、コレクションも見ることが出来るイベントもあります。
ぜひ、この機会に、家具産地旭川まで足をのばしてみては・・・?

講演後の親睦会でも、織田先生の家具に対する思い、現在取り組まれている事、世界中でのご活躍、
そして先生の
旭川に「デザインミュージアム」をつくりたい、という夢。
本当に豊かに暮らすこととは?
私たちの暮らしを豊かにするデザインとは?

   などなど、たくさんお話が出来ました。

旭川家具、普段よく使う単語ですが近くにいるほど気づかない、本当に大切にしたい伝統や技術があります。
私たちは北海道に住み、家具を扱う業者としても、その大切さを忘れないようにしなくてはなりません。
そう、実感させられた、素敵な講演会でした。
織田先生、ありがとうございました!

世界最高評価を得たデンマークデザイン

北欧のデザインが、世界中から評価されている要因を、織田先生の特別講演の内容からご紹介してきました。今日は、その中でも、世界最高の評価を得たデンマークのデザインについての内容ご紹介です。

デンマークデザインが栄えたのには、5つの要因がある、と織田先生はお話してくださいました。

●1927(1921)年から1966年まで、40年続けられた「コペンハーゲンキャビネットメーカーズギルド展」
 ※1921年~1926年はギルド内のみでの開催。1927年からは建築家や家具デザイナーと、メーカーのコラボレーションによりギルド展を開催
  メーカーと建築家、デザイナーとのコラボレーションというところに意味がある

●生活協同組合連合会(F.D.B)の存在
  「家具は ”より美しく、より丈夫に、より安く”」と提唱。
 ※ここで言う、安くとは、低い価格帯を指さず、”相応の価格”という意味

●ライバル同士の切磋琢磨
 ボーエ・モーエンセンとハンス・J・ウェグナーは同じ歳。フィン・ユールはその二つ上。

●デンマーク独自の家具に関する教育
 指物師の資格者制

●コーア・クリントの2つの研究
 「リ・デザイン」
 「人間工学」
コーア・クリント レッドチェア
コーア・クリント レッドチェア
 チッペンデールチェアをリ・デザインしたもの。
 バルセロナ万国博覧会で、メダルを受賞
 本国では「バルセロナチェア」と呼ばれる。

※現在の通称「バルセロナチェア」は、ミース・ファン・デル・ローエ作のものが有名だが、同バルセロナ博覧会ではメダルを受賞していない。後に、バウハウスで後者のチェアが広まり「バルセロナチェア」と呼ばれるようになった。

リ・デザイン とは・・・
     過去の問題点をデザインで解決する技術

1)デザイン(見た目、フォルム)の見直し
2)素材の見直し
3)技術(作り方)の見直し
4)価格の見直し
5)使い勝手(機能)の見直し
6)強度の見直し

人間工学
家具デザインと人間比率の関係を詳細に研究⇒「人体計測」
人体計測

研究の一部としてクリントは収納するものに合わせて特別に収納ユニットをデザインし、引き出しや棚の基準寸法を設立した⇒「機能性」の追及
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コーア・クリントのこの2つの研究は、デンマーク家具のデザインを育て、彼のデザインに関する哲学の多くは次世代のデザイナーに影響を与えました。

織田憲嗣氏 特別講演会「北欧から、北海道から学ぶ住まいとインテリア」 つづく

北欧デザインを育てたカリスマリーダーたち

昨日の 織田憲嗣氏 特別講演会「北欧から、北海道から学ぶ住まいとインテリア」つづきです。

北欧には、カリスマ的リーダーがいたことも、大きな要因でした。

デンマーク
●N.F.S グルントヴィ(Nikolaj Frederik Severin Grundtvig)
 キリスト教の牧師 国民高等学校(ホイスコーレ)の創設
 参考:http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/society/grundtvig.html

Grundtvig出展 http://10plus1.jp/photo-archives/ グルントヴィ教会

●ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen)
 童話作家

●コーア・クリント(Kaare Klint)
 デンマーク近代デザインの父と呼ばれる
 クリントの思想・教えはたくさんのデンマーク家具デザイナーを輩出した
   アルネ・ヤコブセン
   ボーエ・モーエンセン
   ポール・ケアホルム など

フィンランド
●アクセル・ガレン・カレラ(Akseli Gallen-Kallela)
 フィンランド建国をあらわした民族叙事詩「カレワラ」を描いた画家

●ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)
 「フィンランディア」の作曲家

●エリエル・サーリネン(Eliel Saarinen)
 建築家 のちにアメリカの九ランブルックアカデミーを創設
 息子はアメリカを代表する20世紀半ば(ミッド・センチュリー)の建築家・デザイナーとなったエーロ・サーリネン(Eero Saarinen)

●アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)
 建築家 活動は建築のみならず家具、ガラス食器などの日用品のデザイン、絵画までと多岐に渡る
 バーチ材(樺)の家具への利用 のちにArtec(アルテック:北欧モダンを代表する家具ブランド)創設

ノルウェー
●アルフ・ストゥーレ(Alf Sture)
 家具デザイナー 解剖学的(人間工学的)な視点で家具をデザイン

●ペーター・オプスヴィック(Peter Opsvik)
 エルゴノミクス(人間工学)理論を取り入れた第三の姿勢ともいえるバランスチェアを開発
バランスチェア
 子どもの成長に合わせて座面を調整できる椅子「トリップトラップ」も彼の作品

スウェーデン
●グレゴール・パウルソン(Gregor Paulson)
 「日用品をより美しく」という国民運動を提唱

●グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund)
 建築家 北欧の20世紀の建築家たちに多大な影響を与えた
reihaidou出典:http://www.erikgunnarasplund.com/ 森の礼拝堂
OLYMPUS DIGITAL CAMERA世界遺産 スコーグスシュルコゴーデン(Skogskyrkogården,森の墓地)

つづく

織田憲嗣氏 特別講演会「北欧から、北海道から学ぶ住まいとインテリア」

昨日は、今回講師をしてくださった織田先生について少しご紹介しました。
今日は、織田先生の講演会の内容をご紹介いたしますね。

北欧・・・といえば、デザインやインテリアが好きな方であれば
     「北欧デザイン」と連想されるでしょう。

では、なぜ北欧デザインが優れているとされ、こんなにも人気があるのでしょうか?

まずは、その北欧という土地柄から紐解いていきましょう。

北欧のスカンジナビア4国と言われているのは、
 デンマーク王国、スウェーデン王国、ノルウェー王国、そしてフィンランド共和国です。

地域的にはここに、アイスランドやグリーンランドが含まれますが、日本では北欧と言えば上記スカンジナビア4国を指しますので、今回は省略いたします。

この国々は、デンマークは九州と、そのほかの3国は日本と近い面積の国です。
非常に、小さな国ですね。しかし、人口は比較的少なく人口密度が低い国。
少ない人口で国を支えなければならず、はやくから女性が社会進出したことが大きく関わっているそうです。

それは、夫婦の両方が仕事を持っているために、家事の分担化がされ
男女ともに「生活者」=使い手 の視点を共有している事です。

男性がつくり、女性が使う・・・といった他諸国とは違った視線

  「使用者の立場に立った、物の在り方」という価値観が育っていきました。

また、土地柄も影響を及ぼしました。
天然の地下資源には恵まれず、

  木材資源の有効活用がなされたという点です。

国のまわりを囲む海に浮かぶヴァイキング船、木造の教会などに、その技術の高さがうかがえます。
hune出典 http://wadaphoto.jp/kikou/hokuo09.htm バイキング船

stav出典 www.wallpaperlink.com ノルウェー スターヴ教会

学校教育でも、木工の授業があるそうです。

そして、ご存知のように、冬は夜が長く、夏は白夜という気候。
家庭での時間の過ごし方に、他の国にはない特徴があります。

家での過ごし方を、より充実させ、楽しむ。

そのために、
  ハンディクラフトの分野で北欧独特の生活文化が生まれたというわけです。

そして、1919年ドイツでは、バウハウスが創設されたその年
スウェーデンでは、グレゴール・パウルソンによって

  「日用品をより美しく」という国民運動が提唱されました。

パウルソン著 生活とデザイン -物の形と効用-

つづく

北海道 暮らしから育てるインテリアキャンペーン2014

こんにちは。
先日、インテリア産業協会 北海道支部主催の
「北海道 暮らしから育てるインテリアキャンペーン2014」の、ロイトン札幌で開催されました特別講演会に参加してまいりました。

当社は、インテリア産業協会の会員企業でもあります。
そこで、当社のインテリアコーディネーターや社員も、毎年参加しているこの企画を楽しみにしています。

今年の特別講演会は、
「北欧から、北海道から学ぶ 住まいとインテリア」
特別講師は、世界的に活躍されている織田 憲嗣氏です。
インテリア産業協会 インテリアフェア2014

織田先生は、もともとはグラフィックデザイナーで、百貨店の宣伝部を経、フリーのイラストレーターとなりましたが、ル・コルビジェのLC4との出会いで、椅子のコレクションを始めたそうです。

今では、世界中から注目される椅子のコレクターであり、研究者でもあります。
代表的な著書には、「ハンス・J・ウェグナーの椅子100」「デンマークの椅子」「名作椅子大全」など、書店でもデザイン書のコーナーには必ず並ぶ、有名な本がたくさんあります。

チェアのコレクションのほか、現在では日本の伝統民家の研究、20世紀の日用品の研究などを手掛け、住まいとインテリア、豊かな暮らしをおくるためのエレメントすべてに必要な快適な要素とは・・・といった視点で研究をすすめ、活躍されています。

この織田先生の、今回の特別講演会の内容は、
北欧のデザインから学ぶ住まいやインテリアの考え方、

そして、北海道、世界屈指の家具産地に数えられる旭川を通し、豊かな暮らしとは・・・というテーマでお話してくださいました。

次回のブログでは、大変感銘を受けました、この織田先生の講演会の内容を少しご紹介したいと思います。