世界最高評価を得たデンマークデザイン

北欧のデザインが、世界中から評価されている要因を、織田先生の特別講演の内容からご紹介してきました。今日は、その中でも、世界最高の評価を得たデンマークのデザインについての内容ご紹介です。

デンマークデザインが栄えたのには、5つの要因がある、と織田先生はお話してくださいました。

●1927(1921)年から1966年まで、40年続けられた「コペンハーゲンキャビネットメーカーズギルド展」
 ※1921年~1926年はギルド内のみでの開催。1927年からは建築家や家具デザイナーと、メーカーのコラボレーションによりギルド展を開催
  メーカーと建築家、デザイナーとのコラボレーションというところに意味がある

●生活協同組合連合会(F.D.B)の存在
  「家具は ”より美しく、より丈夫に、より安く”」と提唱。
 ※ここで言う、安くとは、低い価格帯を指さず、”相応の価格”という意味

●ライバル同士の切磋琢磨
 ボーエ・モーエンセンとハンス・J・ウェグナーは同じ歳。フィン・ユールはその二つ上。

●デンマーク独自の家具に関する教育
 指物師の資格者制

●コーア・クリントの2つの研究
 「リ・デザイン」
 「人間工学」
コーア・クリント レッドチェア
コーア・クリント レッドチェア
 チッペンデールチェアをリ・デザインしたもの。
 バルセロナ万国博覧会で、メダルを受賞
 本国では「バルセロナチェア」と呼ばれる。

※現在の通称「バルセロナチェア」は、ミース・ファン・デル・ローエ作のものが有名だが、同バルセロナ博覧会ではメダルを受賞していない。後に、バウハウスで後者のチェアが広まり「バルセロナチェア」と呼ばれるようになった。

リ・デザイン とは・・・
     過去の問題点をデザインで解決する技術

1)デザイン(見た目、フォルム)の見直し
2)素材の見直し
3)技術(作り方)の見直し
4)価格の見直し
5)使い勝手(機能)の見直し
6)強度の見直し

人間工学
家具デザインと人間比率の関係を詳細に研究⇒「人体計測」
人体計測

研究の一部としてクリントは収納するものに合わせて特別に収納ユニットをデザインし、引き出しや棚の基準寸法を設立した⇒「機能性」の追及
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コーア・クリントのこの2つの研究は、デンマーク家具のデザインを育て、彼のデザインに関する哲学の多くは次世代のデザイナーに影響を与えました。

織田憲嗣氏 特別講演会「北欧から、北海道から学ぶ住まいとインテリア」 つづく

2014/05/19 by 札幌ファニシング TERRA staff