タンナーというお仕事4 価格の差が生まれるわけ

これまで、皮が革へと加工される過程を紹介してきました。

さて、各工程に、数種類の方法があるのもご紹介しましたが
何より、価格の差が生まれる原因となる、

        【革の違い】について迫っていきましょうか。

革張りソファに用いられる革で、多く流通しているものに
【コレクテッドレザー】があります。

これは、皮の表面をサンドペーパーで削ってしまい、
顔料で塗装して、その上から、皮の型押しを施しているものです。

皮の表面の事を、Grain(グレイン)といい、
日本ではその部分を銀面とも言います。

グレインをギンと聞き間違え、
ギン=銀の面 銀面と言われるようになったそうです。

皮の表面 グレイン(銀面)は、丈夫な部分です。
では、なぜ銀面を削り取ってしまうのでしょう?

それは、皮の表面には、動物ですからその個体によって
キズやシワ、シミなどがあります。

よっぽど良い状態の皮でないと、良い仕上がりには見えません。
ですから、程度の低い皮は、銀面を削りとり、
コーティングになる顔料により塗装して、皮の型押しをして表面を均一化し
キレイな革にしあげるのです。キレイにお化粧された革、というわけ。

・・・しかし、こう聞くと本当に良い革とは?

やっぱり、皮の丈夫な部分、銀面は残しておきたい。
これを銀を取ってしまったコレクテットレザーに対し、【銀付きレザー】といいます。

そして、なるべく薄い塗装もしくは、染料で染めるアニリン仕上げの方が 皮の風合いや、素材感が生きていて、良いと思いませんか?

そのためには、皮の時点で差が出ますね。
キレイで状態の良い皮を薄化粧で仕上げてあげる、
そんな方法でできた革が、良い革ではないでしょうか。

もちろん、使う状況によって
特に、染料で仕上げるアニリン仕上げでは、お手入れが大変な部分もあります。
好みもありますから、いちがいにアニリンが一番!という事は言えませんが

風合いや、お手入れの事を考えつつ
   アニリン仕上げ
   セミアニリン仕上げ
   ピグメント仕上げ・・・という視点から、革を見つめてみてください。

そして、銀面が削りとられたコレクテットレザー、

さらに安価なものでは、
銀床(皮を銀面とその下の部分に割り、銀面じゃないほうの床皮)に
フィルムを貼り付け塗装・型押ししたもの
  リサイクルレザーやバイキャストレザーと呼ばれるものもあります。

中には、皮の破片を樹脂で固めて皮状にしたものもあります。

ひとまとめに【革】といっても、実に色々種類があるわけです。

さぁ、革張りソファといわれているソファに、価格の差が生まれるわけを
お分かりいただけたでしょうか。

2012/12/06 by 札幌ファニシング TERRA staff