世界には、たくさんの手織り絨毯がありますが
その中に、世界中にコレクターがいる程の人気の手織り絨毯があります。
ペルシャ地方の遊牧民族 カシュガイ族が織るGABBEH(ギャッベ)です。
ギャッベは、ギャッベ・アートとも呼ばれ 本も出版されるほど芸術性の高い織物です。
カシュガイ族は、ペルシャ地方で羊を飼って、テントで暮らす遊牧民族です。ギャッベはペルシャ語で「粗い」rough という意味で、毛足の長いざっくりと織られた厚手の敷物です。
ウールは、冬暖かく、夏涼しい素材で、テント生活の暑さ寒さから身を守り、硬い土の床でも快適に暮らせるように考えられた生活の知恵ともいえます。
ギャッベには主に「ナチュラルギャッベ」と「カラーギャッベ」があります。
ナチュラルギャッベは、羊毛を染めずに、羊毛自体の色の違いだけで模様や味を出しています。
カラーギャッベは、草木染により染められた羊毛を使ったものです。
色は5色。
青:ケレンデという植物
赤:アカネ
黄:ザクロの皮や雑草
茶:クルミの殻や、木の皮
緑:ジャシールという灌木の葉や枝
これらの織り込みの加減によって、点描画のような多色彩を表現するのです。
織り子は、娘たちで小さな頃から「たしなみ」として織り方を教育されます。結婚が決まると、持参金としてギャッベ2枚を織り上げ、嫁入りするのが昔からの習わしだとか。
設計図やデザイン画はなく、織り手の心のまま、即興で織られていきます。その図柄は、民族の願いや祈りが込められているといいます。
よく見られる図柄
生命の樹:長寿や健康を願う。永遠なるものへの憧れ。
羊・ヤギ:子孫繁栄を願う。
人:女性なら多産への願い、子供なら健康への願い。
鳥:神の遣い、憧れ。
など
その他、グラデーションなどを用い、雄大な自然を表したデザインもあります。
真っ赤な夕日の風景や、大草原、星空などです。
ギャッベの図柄は二枚と同じモノはなく、大きさも様々。
近年ヨーロッパや日本での人気の高まりにより、輸出用に品質がしっかりと管理されたものが流通しています。ですが、織り手が遊牧民である事には変わりなく、豊かな感性を持ち、アートとしても注目される魅力的な手織り絨毯です。
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