国際家具デザインフェア旭川・第60回旭川家具産地展レポート

IFDA2014
2014年6月18日(水)~22日(日)
国際家具デザインフェア旭川「IFDA」

このイベントは、3年に一度開催される家具のイベント。
旭川に、世界中から優れたデザインの家具が集まる、若手デザイナーを育む国際デザインコンペも開催されます。

また、同時開催としまして毎年開催される木工祭「旭川家具産地展」も開催されています。

以前、椅子の世界的コレクターである織田先生の講演会レポートで
「世界1の家具産地といえる旭川」の中でも書かせていただいていますが、家具産地旭川が、最も盛り上がるイベントと言っても過言ではありません。

特別イベント、関連イベントが、街を挙げて開催されています。
イベントスケジュール

家具産地展の会場は、旭川家具センター。
旭川市とその近郊の家具メーカーや団体、約30社が商品を展示しています。
kaijou

今年は、「第60回旭川家具産地展」。長い長い歴史ですね。
ちょうど、会場に入ったころ、「ここの木の家具・旭川プロジェクト」始動展の講演が始まりました。
「旭川家具を、創成期のように北海道の森の木でつくろう」という取り組みです。
中川町から、家具産地旭川へ、木材供給が始まりました。
kokonoki
北海道の木で、私たちの家具をつくる。
森を育てる側と家具をつくる側の、貴重な連携が実現し始めています。

そして、国際家具デザインフェアIFDAでは、国際デザインコンペも注目イベントの一つ。
今年の受賞作品の展示は、サイパル会場。

入賞作品はこちらでご覧いただけます。「IFDA デザインコンペ」

シルバーリーフ賞に、カンポスチェアが選ばれたデザイナー、松岡 智之さんは、当社のオリジナルブランド「Neo Design」のソファをデザインしてくれているデザイナーさんです。
   松岡 智之デザイン「LAY」「TRUST」

ちょうどこの日、受賞者によるプレゼンテーションがある、という事で会場行ってみました!
沢山の人にかこまれて、そこに松岡さんがいらっしゃいました。
ずうずうしくも、ご挨拶させていただきました!
快く、写真撮影にも応じてくださいまして、本当にありがとうございます。
designer_mrmatsuoka
このチェアは、ノックダウン(組立式)で、(後でも紹介しますが)深澤直人氏と、ナガオカケンメイ氏の講演会でも話にのぼりましたが、私はストーリー性のある作品だと思いました。私個人の思いではありますが、家具にはストーリが必要。そこに流れる時間が感じられるような家具は素敵だと思います。

ナガオカ氏
   「組み立てている時間って、いいよね。木と向き合っている時間という感じ。」

深澤氏
   「なかなか、組み立てられなかった。キャンプなんかで、鍋奉行みたいにお父さんが組み立てるって言ってさ、なかなか組み立たない。(お母さんが)まだ、できないのー?なんて、なかなか座れない(笑)。」

深澤氏
   「アウトドアで使いたい。はやく製品化したらいい。僕買うと思う。」

との、講評・好評でした。

松岡さんは、実はもう一脚の椅子も、入選されています。すごいですね。
プレゼンテーションの様子です。
persen

その、プレゼンテーションの後は、会場を移りまして、デザインセミナーです。
国際デザインコンペの、メープルリーフ賞のスポンサーである、ケベック木材製品輸出振興会の代表の方が、カナダの木材の事、木材を使った製品の事などをお話しくださいました。

そして、いよいよその後が深澤直人氏と、ナガオカケンメイ氏の講演会です。
デザインセミナー
タイトルは、深澤直人とナガオカケンメイが旭川で語る「都市とローカルのデザインの未来」。
少し難しいテーマかな、と思いましたが、ナガオカ氏のユニークかつ巧みな進行で、
深澤氏の、デザインに対する思いがどんどん、引き出されてきます。

さすが、ロングライフデザインをテーマに、デザイン活動をされているナガオカ氏は、多方面からの切り口で深澤氏にデザインや、家具、そして家具産地旭川についての感想や考えを質問していきます。

世界的に活躍されている、深澤氏は、誰もが一度は見たことがあるたくさんの製品のデザインを手掛けているプロダクトデザイナーであり、家具デザイナーでもあります。その審美眼、探究心、常に心に持つ「気づき」などから、深いデザイン論をお話しくださいました。

国際家具コンペの審査委員でもあった深澤氏と、入賞作品を見、デザイナーたちと話をしてきたナガオカ氏の、作品への感想などもお話しくださいました。

ゴールドリーフ賞 STチェアー
ifda4深澤氏 「一目でいいと思った」「上質な暮らしをおくれる」「精度が高い」

シルバーリーフ賞 カンポスチェアー
camposナガオカ氏 「座ってみると座が浅い。心地よいホールド感がある」
深澤氏 「木の素材感。アウトドアキャンプで自然の中で、使いたい」

ナガオカ氏 「コンペ自体の変化があった?」
深澤氏 「90年代は、新しいデザインを求めていた。」「デザインによる刺激を求めていた。」
    「現代は、生活にとけこむ美しさを求めていると思う。」

ナガオカ氏 「旭川と家具について、家具産地旭川としては?」
深澤氏 「技術を持った作り手がたくさんいる。」「作りたがる、そして作ったらゴール!になってはダメ。」
    「ゴールは、生活の中でその家具が生きている状態。そこをゴールと見てモノづくりをしないと。」

デザイン、ものづくりとは・・・
    生活空間をデザインする。
    生活感を、産業で豊かにする。

北欧に見るデザインの素晴らしさ。旭川も同じような環境にある。
冬が長くて、短い夏。家で暮らす時間が長いのだから、より豊かな生活、時間を送れるような室内環境を求める。
デザインがあって、作り手がいる。旭川は、作る幸せへの思いが強いのでは?

「デザイン性」と、「作り手の思い」。その、重なったところが、豊かなモノになる。

    というような、お話がありましたが、個人的には、私はそれにプラスして「使い手の思い」を重ねたい。
     その3つが重なったところが、本当に豊かなモノというか、豊かな生活を形作る要素となるのでは・・・と感じました。

日本の伝統工業やデザインについて

深澤氏 「かわいい=チェリッシュ」→大切にしたい、と思わせられるデザイン。
     「愛でたいもの」そう思わせるような、モノ作りが、本当に良いものとして受け入れられるのでは・・・。
     「家具も、そう思われるようなデザインが必要」

※注意
以上は、私が個人的の心に響いたところです。言葉の言い回しなどは、そのままではありません。私個人が感じた言い回しで表現していますので、その通りの言葉でお話しくださっているわけではないことを、あらかじめご了承ください。

最後の15分間は、質問タイム。いくつかの難しい疑問?質問?に、深澤氏ならではの切り口で応えてくれました。とても、感じる部分が多く、実りある90分。本当に参加してよかったと思います。

ざーっとではありますが(個人的な感想で恐縮ではありますが)、IFDAレポートでした。
時間が無くて、まだ他に行きたかった会場があったのですが、今回は断念。

彫刻美術館ステーションギャラリーにも、旭川美術館にも織田コレクションをはじめとした展示があります。
デザインギャラリーや、ナガオカケンメイ氏プロデュースのD&DEPARTMENT 2014も、見たいところが盛りだくさん!

日曜日まで開催です。
ぜひ、お近くの方は、各会場へ脚を運んでみてはいかがでしょうか?

2014/06/20 by 札幌ファニシング TERRA staff