1859年、ある椅子が発表されました。
成型合板より、少し前の時代です。
その椅子は、現在まで
2億本以上、売れています。
150年近く前に生まれたチェアが、
今でも、売れているのです。
作者は、ミヒャエル・トーネット。
この名前、聞いた事がある方もいるかもしれませんね。
トーネットといえば、曲げ木。
曲げ木といえば、トーネット。
当時は、カーブを作り出すために
木を削って薄くして曲線にし、
1枚1枚膠(にかわ)で貼り合わせていました。
とても、手のこんだ手間のかかる作業です。
これでは、大量生産は無理です。
そこで、トーネットは、2㎜程度のブナの薄板を
膠(にかわ)を溶いたお湯で煮て、5~10枚まとめて
型に挟み込んで、乾燥させるという技術を開発しました。
この方法は、成型合板の原型となっています。
トーネットは、さらに考えました。
「無垢材を曲げる事が出来れば、もっと効率がよくなる」と。
蒸らして、軟らかくした材料を
薄い鉄の、帯板に沿わせて固定し
その帯板ごと曲げて、型にセットします。
そのまま、乾燥させれば、狂いも防げる。
この方法は、1842年、ウィーンで特許の認可がおりました。
そして、1859年。
後ろ脚から背へ伸びる部材、
背あての部材、
籐張りの座面、
円形の貫(ぬき)、
前脚の2本。
たった、これだけの、
たった、6個のパーツで構成されただけのチェア
『14番カフェチェア』が誕生しました。
分解されたパーツは、輸送の際に1箱に36脚分梱包できた、
といわれています。
部材が少ないこと、合理的に製造されることにより、安価でできます。
組立には、接着は使わず、ビス止めだけ。
破損した場合は、その部分だけを交換すればよい。
そんな理由で、2億本以上という
記録的販売数を達成したのですね。
参考文献:CONFORT
物語を読んでいるような気分になりました。
ためになって楽しい。
ゆっくりでよいので、続けてくださいネ。
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これからも、どうぞよろしくお願いいたします。